ハインリッヒの法則について

今年のゴールデンウイークの真っ只中、大阪府吹田市の「エキスポランド」でのジェットコースター脱線事故は、利用者の心に猜疑心を生み、少なからず同業界にマイナスイメージを植え付けました。
利用者の多くなるこの時期だからこそ、いつもにも増して万全の保守確認をして臨んで欲しかったのですが、会見では様々な事象で見送られていた事実を聞いて残念でなりません。
人の命を預るという意識が希薄になっていた結果なのでしょう。

さて、このようなシーンで最近取りざたされるのに「ハインリッヒの法則」があります。
『1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在する』というものです。

アメリカの損害保険会社にて技術・調査部の副部長をしていたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒの1929年11月19日に出版された論文が法則の初出です。当時、アメリカの労働災害補償制度は、大半を民間保険会社に依存していたので、この論文も、労災事故に関する5,000件もの統計学的レポートなのですが、様々な事象にも当てはまるため、今回のような事故や、企業のクレーム処理、更にはビジネスチャンスの掴み方まで多様に応用されています。
プラスで あってもマイナスであっても、大きな事象はいきなりぽっと出るものではなく、小さな予兆・些細なことの積み重ねが、背後にあることを意識できればそれぞれをコントロールすることが出来るモデルケースとして使われています。
今回の事件においても、たいしたことは無い。ヒヤッとしたが無事だった。という事象が報告・検証されていれば違った結果もあったと思います。どのような理由があるにせよ、起こりうるリスクを軽視し、このような事故を招いてしまった遊園地側の責任は重大です。
今後、できる限りの保障をするのは当然のこと、ご遺族の方々には心からご冥福をお祈りすると共に、1日も早い心の回復を願ってやみません。